響き合う時と音

世界中の時計ジャーナリストや関係者がその時を固唾を呑んで待ち構えていたパテック フィリップの重要な技術発表。そこでベールを脱いだモデルこそ「パテック フィリップ・グランドソヌリ6301P」。グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーターの三つのチャイム機構を一つに収めた新たなグランドコンプリケーションの誕生が告げられた。

Text Yasushi Matsuami

世界中の時計ジャーナリストや関係者がその時を固唾を呑んで待ち構えていたパテック フィリップの重要な技術発表。そこでベールを脱いだモデルこそ「パテック フィリップ・グランドソヌリ6301P」。グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーターの三つのチャイム機構を一つに収めた新たなグランドコンプリケーションの誕生が告げられた。

パテック フィリップ・グランドソヌリ6301P
「パテック フィリップ・グランドソヌリ6301P」。手巻き、ケース径44.8㎜、プラチナケース×アリゲーターストラップ、時価。

パテック フィリップの新作チャイムウォッチ

11月10日、スイス時間12時59分、日本時間で20時59分。世界中の時計ジャーナリストや関係者がパソコンの前で、その時を固唾を呑んで待ち構えていた。

数日前、パテック フィリップ本社から届いた1通のメールには「Major Technical Launch(重要な技術発表)」の文字が躍っていた。ニューノーマル時代にふさわしく、オンラインでいかなる発表がなされるのか? 

注目の瞬間は、涼やかな、しかし深みのあるチャイム音で幕を開けた。そこでベールを脱いだモデルこそ「パテック フィリップ・グランドソヌリ6301P」。グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーターの三つのチャイム機構を一つに収めた新たなグランドコンプリケーションの誕生が告げられた。

グランドソヌリは、正時と15分、30分、45分の時とクオーターを、自動的に知らせる機能。プティットソヌリは正時とクオーターを自動的に知らせる機能。そしてミニット・リピーターは、現在時刻をオンデマンドで知らせる機能。「6301P」は三つのハンマーとゴングにより、3音階による美しいチャイム音で時を告げる。

数あるコンプリケーションの中でも、チャイム機構は、設計から製作、音色調整に至るまで、極めて高度な技術が要求される。パテック フィリップは、この機構に関しても、他を圧倒する歴史とノウハウを有する。

本社の販売台帳によれば、創業間もない1839年9月に最初のリピーター機能の懐中時計を販売。50年にはグランドソヌリ、翌51年のロンドン万博に2点のチャイム機構の時計を出品した記録も残っている。

20世紀以降も、24もの複雑機能を持った著名な「グレーブス・ウォッチ」、さらに創業150周年記念として1989年に発表された33もの機能を持った世界で最も複雑なモデル「キャリバー89」などでも、圧巻のチャイム機構を披露し、称賛を浴びた。

また創業175周年を迎えた2014年に発表した「グランドマスター・チャイム 5175」は、グランドソヌリ、プティットソヌリ、ミニット・リピーター、アラーム、さらに日付を音で知らせる世界初のデイトリピーターという五つの音響コンプリケーションを搭載し、驚きを誘った。19年には、同じ機構のムーブメントをスチールケースに収めたモデルを、チャリティーオークションに出品。日本円で約33億8000万円という史上最高落札額を記録した。

ここに搭載されたキャリバー300での技術的蓄積をベースに、三つのチャイム機構に絞り、音響性に配慮しながら小型化も実現したのが新キャリバーGS 36-750 PS IRMである。このムーブメントは、プラチナケースに収められ、本黒七宝の文字盤を与えられた。この上なく複雑でありながら、この上なく端正な表情が実にパテック フィリップらしい。

14世紀、教会の鐘で人々が時を知った当時から、時間と音とは密接な関係にあった。そのロマンを礎としつつ、気の遠くなるような技術的進化を重ねてたどり着いた、この「6301P」の誕生を歓迎したい。

●パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
TEL03-3255-8109

※『WEB-NILE』2020年12月に掲載した記事を編集し掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
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