「本当のイタリアの味」への道しるべ

本の食べ時 第14回 君島佐和子

本の食べ時 第14回 君島佐和子

『イタリアに行かなければ味わえない オルトレヴィーノが案内する極上のレストラン』
古澤一記、古澤千恵著/誠文堂新光社/2025年11月刊/1,980円

本の中身の前に、著者について記しておきたい。その方がより本書の性格を感じ取ってもらえると思うからだ。

古澤一記さんはイタリアで10年間修業した料理人である。トスカーナ、サルデーニャ、エミリア=ロマーニャ、プーリアのレストランやトラットリアで働きながら、ワインの勉強に勤しみ、フィレンツェの名店「エノテカ・ピンキオーリ」ではソムリエを務めた。ワイナリーで栽培と醸造も経験した。共にイタリアに住んだ妻の千恵さんは古い器や家具の探求に傾注し、生来の卓抜なセンスとも相まって、独自の世界観を持つアンティーク商になった。二人は2010年に帰国し、鎌倉でレストラン「オルトレヴィーノ」を開業。千恵さんは並行して「オヴンクエ」の屋号でアンティーク業を営む。

私はたまたま彼らの在伊時代に取材の機会を得たが、核心に触れたのは鎌倉の店のオープン時だったように思う。

新しい空間にイタリアの古い家具が古いまま置かれていた。ありがちなリペアを施さず、塗装は剥げ、退色して、ささくれだち、家具が元々備えていた姿で存在していた。表層を繕わない。本来の姿を覆い隠さない。時間の堆積を価値とする。料理もそうだ。一見、何の変哲もなく皿の上にたたずみながら、口へ運ぶと、明らかに日本人のDNAにはない味が広がり、「あぁ、これが現地の味なのか」と説き伏せられた。イタリア人の肌身に染み込んだ、イタリア人にとってのイタリアを伝えようとする強い意志があった。

彼らは帰国後も、修業時代に住んだフィレンツェ郊外の家――オリーブ畑の真ん中にある築200年の一軒家の1階――を借り続けている。千恵さんは年に数度、一記さんも年に一度はイタリアへ。「向こうで10年暮らしたことが過去にならないように」と一記さんは言う。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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