食のライブ感

食語の心 第141回 柏井 壽

食語の心 第141回 柏井 壽

食にライブ感が加わると、料理がより一層おいしく感じられるのは間違いない。多人数は別として、ひとりかふたりで食事するなら、カウンター席に限ると思っているのは、ライブ感を愉しみにしているからでもある。だが料理屋のライブというものは、見せびらかすものではなく、あくまで料理を作るプロセスだけで成り立つはずだと思っている。そしてそれは端正な完成形だから美しいのだ。かつを節を削ったり、昆布出汁を引いたり、というのは裏方で済ませておくべき作業であって、楽屋裏は隠しておくから深遠なのだ。どうすればこんなおいしい出汁になるのだろうと、想像するのが愉しいのに。秘すれば花、なのである。

そしてもっとも残念なのは、一斉に作られた料理を、配給さながら、ランダムに配られること。ライブでありながら幸福感を得にくいのは、それ故のこと。何皿も並んでいるうち、どの皿が自分に回ってくるかは分からない。自分のために作られる料理を、目の当たりにする幸せを実感できてこそ、真のライブなのである。

柏井壽 かしわい・ひさし
1952年京都市生まれ。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都関連の本や旅行エッセイなどを数多く執筆。2008年に柏木圭一郎の名で作家デビュー。京都を舞台にしたミステリー『名探偵・星井裕の事件簿』シリーズ(双葉文庫)はテレビドラマにもなり好評刊行中。『京都紫野 菓匠の殺人』(小学館文庫)、『おひとり京都の愉しみ』(光文社新書)など著書多数。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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