獺祭が挑む日本酒と音楽の融合
オーストリアと生んだ「未来を作曲」の真価

日本酒の醸造過程でワルツを聞かせる——。獺祭とオーストリアが、大阪・関西万博でのお披露目を目指して、これまでにない新たな試みを実現させた。宮廷料理を供する晩餐会を通じ、国境を超えた文化交流が生み出した「未来の酒造り」の可能性に迫る。

Text Hiroko Komatsu

日本酒の醸造過程でワルツを聞かせる——。獺祭とオーストリアが、大阪・関西万博でのお披露目を目指して、これまでにない新たな試みを実現させた。宮廷料理を供する晩餐会を通じ、国境を超えた文化交流が生み出した「未来の酒造り」の可能性に迫る。

「入り江のワルツ」を聞かせながら醸造したという「獺祭 未来を作曲」。ロブマイヤー製のオリジナルグラスに注がれると、ウィーンの調べとともに華やかな香りが立ち上る。

獺祭の醸造過程で、ヨハン・シュトラウスⅡ世の代表曲「入り江のワルツ」を聞かせると言う、何ともロマンチックで壮大な試みが昨年実現した。事の発端は、オーストリア連邦産業院から、大阪関西万博でのお披露目を目的に、日本とオーストリアの文化交流を深める特別な日本酒を共同で造る提案を受けたことに始まる。オーストリアパビリオンのテーマである「未来を作曲」のコンセプトに沿うようにとの考え方から、醸造中にタンクにスピーカーを貼り付けて曲を聞かせ、丁寧に仕上げた酒をパビリオンで提供し、好評を博した。具体的には、ウィーンフィルハーモニーの六重奏からなるフィルハーモニック・テイストと日本センチュリー交響楽団が、それぞれ「入り江のワルツ」をウィーンと日本で演奏、録音し、醸造中の純米大吟醸 磨き二割三分に聞かせたのである。と言っても液体は振動を受け取るだけだが、桜井一宏社長によると、発酵の進みが気持ち早いといいうことだ。

晩餐会の舞台は、正統派オーストリア宮廷料理を供する「銀座ハプスブルク」。ピアノの生演奏が響く優雅な空間には「獺祭」の樽が並び、国境を超えた文化交流の夜を彩った。

獺祭にとっても初めての試みは、まさに「未来を作曲」というテーマにふさわしいではないか。そしてそのご縁を機に、オーストリアを代表するガラスメーカー、ロブマイヤー社と陶磁器メーカー、アウガルテン社と共同でオリジナルのグラスと酒器を製造。こうした国を超えた文化交流の意義を伝えたいと、去る、12月26日に正統派のオーストリア宮廷料理を供する「銀座ハプスブルク」で音楽、日本酒、酒器、料理のコラボレーションを楽しむ晩餐会が開かれた。生演奏を聴きながら、美酒と美味のマリアージュを楽しむ、なんとも贅沢な会となった。ロブマイヤーのオリジナルのグラスでは「獺祭 未来を作曲」の香りが華やかに弾け、アウガルテンの酒器では「獺祭 未来へ 農家とともに」をじっくり味わうという、コラボレーションの魅力をいかんなく発揮する趣向がこらされた。こうした海外との交流がますます獺祭の酒造りの幅を広げ、磨いていくのであろう。

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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