Game Safari at Kruger National Park
147種の哺乳動物が棲むというクルーガー国立公園は、アフリカを代表する野生動物保護区で、南アフリカ北東部のムプマランガとリンポポ両州にまたがり、およそ2万㎢という広さは四国の面積をしのぐ。約350㎞と南北に細長く東西は約60㎞、9カ所のゲートが設けられている。ローフェルトと呼ばれる低高原地帯が広がり植生も多様で樹木類は336種。鳥類507種、魚類49種、両生類34種、爬虫類114種などの数字が並び、世界の旅行者を引きつける「野生の王国」だ。公園内は舗装道路が張り巡らされ、ドライブをしながら野生動物を見てゆくのだが、公園内の主要ポイントを回るだけで3日間が必要といわれる。
自然保護と安全の面から車両の最高時速は50㎞(未舗装道は40㎞)、道路以外の走行、車外に出ることや窓を開けることの禁止、25席以上のバスが走れるのは舗装道路のみで、騒音はもとより、緊急時以外の携帯電話での通話禁止など、厳しいルールがある。レストキャンプと呼ばれる大小さまざまなタイプの宿泊施設が20カ所ほどあり、キャンプによっては早朝や夕暮れのゲーム・ドライブやブッシュ・ウォーク、3泊の徒歩によるウィルダネス・トレイルなど、武装したレンジャー/ガイドがつくアクティビティーなどもある。
ビッグ・ファイブと呼ばれるライオン、ゾウ、ヒョウ、サイ、バファローを見ることが旅行者にとっての目標だが、ヒョウや絶滅の危機にあるクロサイに出合う機会は少なく、ブッシュに潜んで姿を見せないチーターに遭遇できれば幸運といえる。
レストキャンプの宿泊施設は、豪華な設備の高級なコテージから簡易なキャンプサイトまであるが、ロンダベルと呼ばれる円錐形をした草ぶき屋根の現地住民の住居を模したロッジなどもある。メイン・レストキャンプの一つで管理本部があるスククーザには180のバンガロー(内8つがハンディキャップに対応)、ロールイン・シャワーつきのリバーサイド・コテージなどを含め238ユニットと、80のキャンプサイトの宿泊施設がある。銀行や郵便局、売店、レストラン、レンタカー・オフィス、図書館、ガソリン給油所、救急医療などもあり、多くの施設はバリアフリーで、ゲーム・ドライブ用の車両にもリフトが設置されている。日帰りの旅行者用施設も完備し、観光案内所もあるので、レストキャンプは情報収集の上でも欠かせない。
1923年、旅行者に向けた開発がクルーガー国立公園で始まり、4年後にオープンした。さらにその翌年には数カ所の宿泊設備が完成している。1896年に現・南アフリカ共和国の前身で、通称トランスヴァール共和国の当時の大統領ポール・クルーガーによる「国定鳥獣保護区の宣言」が発端であったことから、彼の名前が冠されることになった。スククーザに近い公園のポール・クルーガー・ゲート前に、彼の像がたてられている。
クルーガー国立公園の南西側には、私営の動物保護区が公園に隣接し、多くのプライベート・ロッジが点在する。中でもサビ・サンド動物保護区には人気のロッジが多い。規模も大きくゆったりと過ごせるマラ・マラ、趣の異なるタイプのロッジを備え、レンジャーの質に定評があるサビ・サビ、公園内も含め4つのロッジを有し、プライベート・プールつきの部屋もあるシンギタなどがその代表的なもので、自然との調和に気を配りながらも贅沢な内装だ。
朝夕2回のゲーム・ドライブはロッジの宿泊費に含まれ、ガイド/レンジャーの運転するオープンの4WD車で、説明を受けながら動物たちの生態を間近に見られる。草地やブッシュにも車を乗り入れ、自然そのままを観察できるのがプライベート・ロッジのゲーム・ドライブの特徴で、ロッジによっては動物の足跡などから行動をチェックするトラッカーと呼ばれるスタッフが同乗することもあるが、レンジャーの知識や技能によって動物との出合いや観察が大きく左右される。途中で、飲み物とスナックのサービスも楽しみの一つとして定着している。
また、ノースウェスト州のピーランスバーグ国立公園は12億年前にできた巨大なカルデラの中にあり、南アフリカで4番目に大きな動物保護区。ここでは熱気球によるバルーンサファリが体験でき、空中遊泳をしながら野生動物の棲むブッシュや雄大で変化に富んだ地形を眺めることができる。熱気球のサファリを終えると認定証が渡され、早朝のシャンパンが待っている。
34°21’S,18°30’E Cape Town 紀聞
海抜1087m。スパッと削り取られたように山頂が平らなことからテーブルマウンテンと呼ばれ、町のシンボルとなる山を背にしたケープタウンは、アフリカ大陸南端に位置し、ヨハネスブルクに次ぐ南アフリカ第2の都市で、共和国議会が置かれる立法府の町でもある。南アフリカは行政府をプレトリア、司法府をブルームフォンテーンにと、首都機能を分散している。
紀元前数千年から、サン族(ブッシュマン)やコイコイ族が住んでいたが、1652年にオランダ東インド会社のヤン・ファン・リーベックが、スパイス貿易の船の補給基地を築き、オランダ人の入植が始まった。市内のカンパニーズ・ガーデンの公園はその名残である。
再開発された港地区のビクトリア&アルフレッド・ウォーターフロントは、大型客船や漁船も寄港し、ホテルやショッピングセンター、レストランが集まる観光スポットで、1860年、イギリスのビクトリア女王の次男アルフレッドが湾岸開発を行い、自身と母親の名前にちなんで名づけた。1795年にイギリス艦隊がケープタウンに上陸し占領下に置き、1803年にはオランダ連邦共和国の後継国家バタビア共和国が支配権を取り戻すも、1806年には再びイギリス軍がケープタウンを占領するという入り組んだ歴史背景を物語る。
ロープウェーで登るテーブルマウンテンの頂から遠く望む、テーブル湾に浮かぶ平らなロベン島は、アパルトヘイト時代に黒人の政治犯を主に収容していた刑務所があり、ネルソン・マンデラも18年間の獄中生活を送った。刑務所は1996年に閉鎖されて博物館となり、1999年、世界遺産に登録された。
1990年2月11日、デクラーク大統領の民主国家建設宣言により釈放されたマンデラは、ケープタウン市庁舎のバルコニーから、広場を埋めた25万人の聴衆を前に演説した。それは南アフリカが民主化へと踏み出した記念すべき日であった。ちなみに今年は、マンデラの生誕100年にあたる。
ケープタウンの南。ケープ半島の先端は大西洋とインド洋が出合う岬。1488年、ここに到達したバーソロミュー・ディアスは、海の荒々しさから「嵐の岬」と名づけたが、1497年にバスコダガマがこの岬を通過しインド航路を開拓したことから、ポルトガル王マヌエル1世は「喜望峰」と呼び換えた。岬の東隣のケープポイントには海抜248mの展望台と今は使われていない灯台があり、その先の断崖中腹に現役の灯台がひっそりと立つ。
半島南部は、国の花であるプロテアや、フィンボスと総称される灌木類が見られ、9000種と推定される植物のうち69%が固有種であることからテーブルマウンテンを含め100万haを超すケープ植物区保護地域群として世界遺産に登録されている。半島にはホエールウォッチングのポイントが点在し、オットセイの生息する岩礁への観光船が出るハウト湾やケープ・ペンギンが生息するボルダーズ・ビーチなどをめぐる周遊コースになっている。
ケープタウンに入植後、リーベックはコンスタンシアに最初のワイナリーをつくるが、1679年、ケープ植民地総督のシモン・ファン・デル・ステルはケープタウンの東50㎞に2番目となる入植地ステレンボッシュを建設。やがて宗教上の迫害を逃れた多くのユグノー(フランスの新教徒)も入植。冬には山頂に雪を抱く山々に囲まれたこの渓谷地帯が葡萄栽培に適していることに着目、彼らのワインづくりの技術は現在のケープ・ワインの基礎を築くことになる。パール、フランシュフック、サマセットウェストなど一帯は多くのワイナリーが点在しケープ・ワインランドと呼ばれている。
百花繚乱
Being alive with all sorts of flowers Table Mountain
1925年、ステレンボッシュ大学の教授アブラハム・イツァーク・ペロルドがピノ・ノワールとサンソー(エルミタージュ)の交配でピノタージュを生み出し、以来、南アフリカ独自の赤ワイン用葡萄品種として多く栽培されるようになった。
ステレンボッシュの通りは古いオークの並木が木陰をつくって、「オークの街」とも呼ばれる。ワインランドの中でもグルメの街として知られるフランシュフックは、1688年から90年にかけ、フランスを逃れた約200人のユグノーが入植してワインづくりを始めた町で、町の名は「フランス人地区」を意味し、ユグノー通り沿いにはカフェやレストランが軒を連ねている。
The Filmography of CapeTown
インビクタス/負けざる者たち
1990年、南アフリカ共和国で同国初の黒人大統領が誕生する。その名は、ネルソン・マンデラ。当初は報復を恐れてマンデラ大統領への批判を強めていた白人官僚も、大統領の熱意と温かさに触れ、徐々に協力をしていくようになる。そんな中、当時低迷期にあった、ラグビー南アフリカ代表の「スプリングボクス」は、白人優遇のアパルトヘイトの象徴として、なかなか人気が出ずにいた。しかし、マンデラはラグビーこそ白人と黒人の和解の象徴になると考え、貧困地区の子供たちにラグビーを教え込むなど、ラグビーを普及するべく地道な活動を行っていく。そして迎えた1995年。自国開催のラグビー・ワールドカップで、スプリングボクスは快進撃を見せる……。
ケープタウン
凄惨な殺人事件。多発する子供の失踪――事件の真相に迫った時、2人の刑事は、街(ケープタウン)に潜む深い闇にのみ込まれていく。南アフリカ・ケープタウンで人気の元ラグビー選手の娘が殺された。刑事のブライアンとアリが、少女の事件当夜の足取りをたどると、ある薬物の売人と会っていたことがわかる。その薬物は、最近頻繁に起こる「児童失踪事件」の現場にも残されていたものだった。その恐ろしい成分が明らかになると、一連の事件は組織的陰謀の表層に過ぎないことがわかってくる。それは、この街に潜む、根深い闇が関係していた。事件の真相に迫りつつあるブライアンとアリにも危険が迫っていた……。
ギヴァー 記憶を注ぐ者
舞台は近未来。人々は争いのない平和な理想郷「コミュニティー」で暮らしている。職業から婚姻まで、すべてが長老委員会の決定のもとに管理されており、皆、投薬によって感情や感覚を制御されていた。ある日、主人公のジョナスは、長老委員会の長より、人々の記憶を受け継ぐ「レシーヴァー」の職務を与えられる。ジョナスが記憶を受け継ぐために、コミュニティーのすべての記憶を蓄えている老人のもとを訪れると、封印されていた人類の歴史や愛情・憎悪などの感情を知ることになる。平和が保たれるとはいえ、自由や感情が奪われるのはよいことなのだろうか……。ジョナスは葛藤し、平和と愛を取り戻すべく奮闘する。(撮影がケープタウンで**行われた**)
子連れじゃダメかしら?
3人の娘を男手一つで育てるジムと、2人の息子をシングルマザーとして育てるローレン。ともに子持ちでバツイチ同士の彼らは、仲間たちにすすめられてお見合いデートをするも、うまくいかない。しかしその後も2人は、何度も遭遇してしまうのだ。そして、それぞれ子供たちと休暇を過ごすために訪れた、南アフリカのケープタウンのリゾートでばったり出くわす。しかも手違いから、ケープタウンのホテルのスイートルームで、ともに1週間を過ごすことになる。果たして彼らの恋の結末は……? 個性あふれるキャラクターの子供たちや、アフリカの黒人音楽と軽快なダンスにも注目したい、ロマンチックコメディーである。
※『Nile’s NILE』2018年7月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています。

