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達人のまなざし

銀座小十 奥田透

Photo Masahiro Goda Text Izuzmi Shibata

銀座小十 奥田透

『和食の素材感に寄り添うワインがおすすめ』と奥田透さん。個人規模の造り手から名門ワイナリー、大手メーカーまでと、15年間日本ワインを見続けてきただけに、守備範囲が広い。

「日本のワインは、日本料理店で一番に提供すべき。店を持った時からそう思っていました」と語る奥田透さん。2003年に銀座に「小十」を構えて以来、日本ワインを積極的に提供し続けている。

この15年の間で日本ワインの品質は格段に向上し、葡萄の個性に寄り添うナチュラルなワインが多く造られるようになった。素材そのものをストレートかつ繊細に引き立てる日本料理と、よい相性を見せる方向に進んだといえるだろう。「日本で育った野菜、魚介類、ワインの葡萄。皆、同じ太陽、同じ水、同じミネラルを吸収しているのだから、合わないわけがない」と奥田さん。「日本ワインは、別にピュリニー・モンラッシェにならなくていいのです。甲州には甲州のポジションがある。シャルドネなどの外国品種も、日本で育てば日本だからこその個性を得る。みずみずしく、清涼感があり、繊細でクリア。日本料理に合わせたい、と思うワインが増えました」

奥田さんはまた、「ワインはやはり〝人ありき〟です」と話す。15年間にわたって日本ワインを積極的に取り扱ってきたのは、単に日本料理と合うからではない。その造り手にも引きつけられてきたからだ。 「今のように日本ワインがメディアの注目を集めるようになる前から、がんばっている人たちがいた。模索しながら〝日本ワインらしさ〟は何かを追求し、かつ上質なワインを目指す彼らの姿勢に共感したのです」

とりわけ、グレイスワインのブランドで知られる中央葡萄酒の社長、三澤茂計さんと、娘で栽培醸造責任者の彩奈さんと深く関わってきた奥田さん。小十のオープン間もない頃から定期的にメーカーズディナーを開き、議論を重ねてきた。「グレイスの甲州」といえば日本ワインを代表するキュヴェで、今や世界的に高い評価を受ける存在だが、その高みに至るまでに奥田さんが果たしてきた役割は少なくない。「彼らは自社のワインの向上に真摯であるのみならず、日本ワイン全体の活性化を考えている。世界に向けて、甲州という品種の存在感を示した点もすばらしい」

現在、「小十」ではワインリストの1ページ分は日本ワインを載せると決めている。また、シャンパーニュ、白、赤それぞれ2種類ずつそろえるグラスワインでは、白は基本的に1種類は日本ワインに。赤も近頃は1種類を日本ワインとすることが増えた。さらに、店を構えるフランス・パリにも日本ワインを持って行っているという奥田さん。「かなりの関税をとられるので、高くなってしまうのですが。でも、意地でもフランス人に飲んでほしくて」と笑う。グラスですすめると、興味を持って飲むフランス人ゲストも多い。 「日本料理に日本酒は当然合うのですが、日本ワインという選択肢も、今は十分に〝アリ〟なのです。料理店は、おいしさはもちろん、驚きや発見も楽しんでいただく場所。店が〝これぞ〟と選んだ日本ワインと日本料理の組み合わせに、きっとご満足いただけると思います」

● 銀座 小十
東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル4F
TEL 03-6215-9544

※『Nile’s NILE』2018年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています。

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
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