食

家のこたつで冷めん食べたいねん

中華のサカイ本店

Photo Masahiro Goda Text Nile’s NILE

中華のサカイ本店

背筋をピンと伸ばす店主の土田尚紀さんとすぐ左が奥様の美津子さん。バイト従業員は20名強、20年以上勤める人もいるという。地元からも従業員からも愛される店なのだ。

京都市北区紫野、大徳寺門前近くに古くからある新大宮商店街に「中華のサカイ本店」はある。この地に現在の店主・土田尚紀さんの両親が喫茶店を開いたのが1939(昭和14)年のこと。オムライスなどが人気の喫茶店だったが、戦争を経て、店は窮地に陥る。

先代夫婦から当時のことをよく聞いていた土田さんの妻の美津子さんは、「食材の用意もできず、次の商売のヒントを探しに市内を食べ歩いていたそうです。中華がはやってきたころで、ある日、冷めんを食べて『これだ!』と思ったとか」と話す。

そして1953(昭和28)年、店は「中華のサカイ本店」として新たなスタートを切る。だが看板メニューはすぐに完成を見たわけではなかった。「麺はオヤジが製麺所の人と悩んで、タレがよく絡むやや太めのものに決めたんです。うちのタレはよくゴマだれと間違われて……配合は秘密やけど、和洋中の味が全部入ってるからかなぁ」と土田さん。京都の水で柔らかく仕込まれた米酢、鶏ガラスープにマヨネーズを少量混ぜるのだそうだ。具材も当初は「冷やし中華みたいに」多かったが、細切りの焼き豚(もしくはハム)、キュウリ、散らしのりの3種に減らし、現在の形になった。

以前は4月から10月中旬までだったが要望が多く、今は年中提供する。地元では“年越しそば”として愛されているという。「家のこたつで食べたいねんて」と笑う美津子さん。その気持ち、よくわかる。

「冷めん」は通信販売可能で、夏には1日500食注文が入ることも。喫茶時代からの「オムライス」の中身は鶏肉と玉ねぎを炒めたトマトライス。シンプルながら旨い。

● 中華のサカイ本店
京都市北区紫野上門前町92
TEL 075-492-5004

※『Nile’s NILE』2018年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています。

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

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