魚、タコ、ホタテ、野菜などの装飾が特徴のスパニッシュバロック様式を持つこの建物は、1926(大正15)年、アメリカ人のキリスト教伝道師かつ建築家であるW・M・ヴォーリズによって設計され、西洋料理「矢尾政レストラン」新店舗として竣工した。
しかし経営状況が変わり、オーナーの友人であった于永善が建物を購入するに至った。そして1945(昭和20)年、「東華菜館」がオープンする。
彼の孫で、現在の店長の于修忠さんは、100年近く前の建物を維持するのは大変なことだという。「どんな小さな修繕でも、現在も大阪にあるヴォーリズ建築事務所に頼んでいます。壁の一部を塗り直すにしても、当時の材料がなければ、できるだけ近い材料を使い、塗った後2年置いて色味を合わせることをやっています。とにかく年中どこか直していますね」と笑うが、ここまで徹底した修繕を行うのは、ヴォーリズによる二つとない空間で過ごすことが、訪れた人の思い出につながると考えているからだ。「料理はもちろん、京都の方に長く親しまれることが一番ですから、竣工時の姿を残そうとしているのです」と話す。
景観に対する熱い思いを、ここに見た気がする。それゆえに、古都は古都としての存在理由を持ち続けていくのだ。
● 東華菜館
京都市下京区四条大橋西詰
TEL 075-221-1147
※『Nile’s NILE』2018年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています。

